なんでも院長室 VOL.04 


「予防が大切」

インフルエンザは流行が始まると、短期間に小児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点でも普通のかぜとは異なります。更に普通のかぜが流行しても死亡する人はあまり増えませんが、インフルエンザが流行すると、65歳以上の高齢者での死亡率がふだんより高くなるという点でも大きな違いが見らています。本邦では例年、11月から4月ごろまでの冬から早春にかけて流行しており、近年では12月から患者数が増え始め2月初め頃で流行のピークとなり4月には終息することが多いようです。

そこで重要となってくるのが、インフルエンザにかからない様にいかに予防するかという事です。一般的には、うがい、手洗い、マスクを着用する、人ごみを避ける、保温・加湿などが大切です。もう一つはインフルエンザワクチンの接種を行うことです。ワクチンを接種することによって、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を低く抑えることが期待できます。予防接種の効果が現れるまで約2週間かかります。また、その効果の持続は約5ヶ月と考えられていますので、流行の時期を考えると10月中旬頃から12月上旬までには接種を済まされることをお勧めします。また、ワクチンを接種したからといって風邪にかからないということではありません。かぜの原因となるウイルスはインフルエンザウイルス以外に200種類以上もあるからです。インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスにだけ有効なワクチンであることをご理解ください。

このワクチンの効果は、年齢、本人の体調、そのシーズンのインフルエンザの流行株とワクチンに含まれている株の合致状況によっても変わりますが、65歳以上高齢者において、ワクチンの接種を受けていた場合、45%の発病を阻止し、インフルエンザによる死亡を80%阻止する効果があったと報告されています。特に65歳以上の方や60歳から64歳で気管支喘息等の肺の病気や、心臓病、生まれながら心臓に病気のある方、糖尿病、腎臓の悪い方、免疫不全症などの持病を持っている方(ハイリスクグループ)は、インフルエンザが重症化しやすいので、かかりつけ医とよく相談のうえ、接種を受けられることをお勧めします。

また、インフルエンザの合併症、二次感染として高齢者での肺炎も多く見られるのもこの時期です。海外では、インフルエンザワクチンに加えて、高齢者に多いとされる肺炎球菌による肺炎を狙ったワクチン(肺炎球菌ワクチン)を一緒に接種を行うことで、入院のリスクを63%、死亡リスクを81%軽減できたという報告もあります。まだまだ日本では、普及していませんが、予防が大切です。65歳以上の高齢者の方や、ハイリスクグループの方は、かかりつけ医と相談の上、ワクチンの接種をお勧めします。



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