なんでも院長室 VOL.01 
「糖尿病について」−早期発見が重要−

日本における糖尿病人口は740万人で、可能性を否定できない「予備軍」を合わせると1620万人にのぼります。
つまり、成人の6.3人に1人が糖尿病または予備軍になることが2002年の厚生労働省の糖尿病実態調査でわかっています。

糖尿病は膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用不足により血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的、持続的に高くなる病気です。早期に診断することが重要ですが、早期や軽症のうちにはほとんど自覚症状がなく、病気という認識がないままに放置されることが大部分の患者さんに起きています。血糖値の高い状態が続くと、体の中のさまざまな臓器に悪い影響を与えます。特に神経や血管が集中している臓器が影響を受けやすく、神経障害(神経)・網膜症(目)・腎症(腎臓)の三大合併症のほか、動脈硬化症(脳卒中・心筋梗塞)の原因にもなり健康な日常生活が脅かされたり、進行してからの治療には時間や費用がかかり日常生活に支障をきたすこともあります。

糖尿病は発症早期であれば食事と運動で充分血糖値の管理が出来ます。また飲み薬やインスリンを使って治療を行っていても、血糖値を正常値に近く保つことが出来れば、合併症を防ぎ正常の人と変わらない生活が出来ることがわかっています。検診や病院で異常が見つかったら、すぐに血糖値のコントロールを始めましょう。

糖尿病早期には自覚症状がありませんので、自覚症状が出た時には相当(10年以上経過)進行していることが多いのです。診断は血糖値を測定して診断しています。血糖値の測定は空腹時より食後のほうが判定に良く(食事開始から2時間ぐらいの随時血糖値で160r/dlで要注意)検診等で判定する空腹時血糖では見落としが出るといわれています。もうひとつの方法は75g経口ブドウ糖負荷試験です。「糖尿病型」、「境界型」、「正常型」が血糖値から判定されます。(「糖尿病型」は空腹時‥126r/dl以上、2時間‥200r/dl以上、随時‥200r/dl以上)また食後の血糖値は、まだ糖尿病になっていない「境界型」や比較的軽い糖尿病のときから上昇していること、そして心臓病や脳梗塞などの原因となる動脈硬化は、食後の血糖値のみが高い段階から進行していることもわかってきました。このような方は食事や運動など生活習慣の見なおしが必要です。

以上から糖尿病の患者さんはもちろんのこと、肥満の方、家系に糖尿病の人がいる方、生活習慣に自信のない方に血糖値の自己測定をお勧めします。小型血糖自己測定機は、現在日本では11社から25製品が発売されており、約50万人の方が使用しています。精度は各々問題なく、価格は1万円前後。薬局で購入できますので、ぜひご自分の日頃の血糖値を測定してみて下さい。


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